事実と真実

   私は以前、乗用馬のプロトレーナーとして活動していた事があります。

   当然のように、多くの馬術競技などにも参加しましたし、技術の変遷や、
  論争にも立ち会ってきました。面白い事に、犬の世界での新しい考え方の導入、
  それについての様々の論争が、なぜか馬の世界のそれと良くにているのです。
  しかも20年から、ひどければ30年前の(おしかりを受けるかも知れませんが)・・・。
  しかし過ぎ去れば、その時、意見を戦わせた人達の全てが、真実を突き止めるための、
  正しい発言だったと気づくのです。

   人は皆、尊敬する人や、経験豊富な人から、求めている事の答えを聞くと、
  それが全てであり、絶対的なものであるかのような錯覚を、起こす事があります。
  時には、異なる考え方を、「悪」と思う事もしばしばです。
  それゆえに、過去の現実を、記憶から消却してしまう方もいるそうです。

   そこまではないにしろ、ドッグスポーツの世界でも、ひとつの理論や、
  テクニックに傾注するあまり、異なるものに対し、攻撃的になる人のいるのは残念です。
  
 
  キラリと光る理論やテクニックも、全ての「種」「個体」「条件」を、
  完全にカバーするものではあり得ません。

  指導者の使うコマンドや、スタイル(?)の真意を理解せず、未消化のまま、
  無条件に取り入れることは、大変キケンな事で、これを素晴らしいテクニックだと
  かん違いするのは、もっとキケンなことです。
  
   これでもし、一時的に良い結果が出たとしても、
良く教えたではなく、
  良く覚えた(愛犬が苦労して)
と言わざるを得ません。 
  のちに必ず、厚いカベに、突き当たる事になる筈です。
 
             
「事実は 真実の 敵(かたき)なり」

 
  ロングラン公演を続ける 『ラ・マンチャの男』 の中に出てくるセリフです.
  多くの指導者の、素晴らしい「教え」が、まさにこれです。
  その道で成功を修めている人の教えには、重みがあり、裏付けもあります。 
  ただし、それが全てではありません。
  
   人により、犬により、教えていく過程や、考え方が違っていても当然です。
  ただ、どの方の教えも行きつくところは、同じだと思うのです。
  多くの指導者のテクニックや論理は、数ある 
『事実の中のひとつであり、
  真実では無い』
 と言う事を、深く認識すべきです。

   結果は、もちろん大切な事のひとつですが、その過程(訓練)に、もっともっと
  喜びを感じるようになれたなら、あなたも、たくさんの事実に、めぐりあえる筈です。
  私自身、いまだに、生徒さんのしている事の中に、新しい事実を、見つけることがあります。

   あなたの訓練ポケットに、多くの事実がたまった時、
              自然と真実が見えてくるようになるでしょう。
 
                                                         
                                                    
−Andy−

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